共・公益圏とNPO・協同組合 環境共生社会の創造:住み分けか融合か 古沢広祐
(座長解題(特集 環境共生社会の創造と協同組合
日本協同組合学会第19回大会シンポジウム、協同組合研究(日本協同組合学会) 19(3) 2000.3 p1〜6 )
<T> シンポジウムをふまえての問題整理と課題提起
(1) はじめに
人類の大繁栄と生産力の爆発的な拡大を可能にした20世紀文明が大きな転換期を迎えようとしている。夢のような物質的豊かさの達成の影で、資源の限界、環境の限界(廃棄・処理の限界を含む)、さらに私的欲望の拡大と共同性の喪失、大地・自然との乖離(かいり)に直面している私たちに対して、「環境共生社会の創造」という新しい社会形成のパラダイムが求められている。
もともと協同組合のルーツをたどるならば、資本主義社会の形成過程で解体される個々人の共同性を、生産や労働や消費(生活)の場面で対抗的に組織化する運動として形成されてきた経緯がある。その意味では、今日の「環境共生社会の創造」という新しい社会形成のパラダイムに対して、再び新たな時代の組織形成の担い手としての質が問われているのであり、本シンポジウムはその内実を問う場としてきわめて時宜を得たものと言ってよかろう。
20世紀末の環境問題を契機に問われていることは、「人間社会系」における「生産力」とそれを支える広義の「再生産過程」における生命・生態系循環の諸矛盾を、いかに調和的なかたちに再構築できるかということである。比喩的に言えば、それは、ちょうど「生命系」の安定的な維持には生産ー消費ー還元という生態系のネットワークと循環的システムの形成が不可欠であることとよく似た意味内容になる。「人間社会系」のなかで、それがどのような仕組みと担い手によって達成されるかが問われているのである。
以下では、その問題についてまず便宜的に大きく3つのアプローチとして整理して、協同組合セクターの役割と課題について、とくに第3のアプローチを中心に論じることにしよう。
(2) 市場・生産過程・再生産過程のグリーン化
20世紀の高度に発展した生産力は、その類型化の仕方として、第一次産業(農林水産など)、第二次産業(工業・製造業など)、第三次産業(商業・サービスなど)に分けられる。また、そこで産み出されたり生産されたものは今日、商品として市場で売買されるのが常である。矛盾の解決に対する第1の見方は、その商品あるいは市場取引において環境的なコスト(価値)がきちんと組み込まれ(内部化され)ているかという視点から見ていくアプローチがある。それは環境調和型製品とかエコ(プロダクト)商品・サービスなどとして認識されだしている。生産活動としては、とくに第二次産業の製品について比較的適応しやすいアプローチである。
第2の見方は、それぞれの生産過程において循環性の確保や環境負荷の排除を確立していくアプローチである。それは例えば、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)といった目標として知られるようになってきた。生産活動としては、本来的には第一次産業が自然環境の土台の上で成り立ってきたことを考慮するならば、農業ないし生命産業活動の基本的な発展・応用の道筋として、いわば工業の農業化とでも言えそうな動きとしてみることができる。
他方、もう一つの重要な見方は、「再生産過程」における環境と循環性の重視の視点である。ここで言う「再生産過程」とは、狭義の消費(商品の購入)とともに広義の生活活動全体を含むもので、生命再生産活動(家事・育児・休息等)から余暇活動、趣味・教養、さまざまな交遊ないし交流、知的創造活動までがはいる。もう一つの視点とは、こうした「再生産過程」の活動が、従来のような生産と消費の分離を前提とするのではなく、生産の過程と再生産過程とを共に融合ないし結合していくような総合的視野で環境調和や循環性の確立をはかっていく道筋をさぐる第3のアプローチである。
(4) 協同セクター・グリーン化の各種展開事例
協同組合セクターないし広義の協同セクターが果たす役割は、上記それぞれの分野でもそれなりの課題を抱えてはいるが、とりわけ第3のアプローチにおいてより大きな期待がかけられているように思われる。
本シンポジウムの第1報告で提起されているように、地域の環境を保全する主体として、水系を中心とした内水面漁協等の役割、中山間地域での景観保全協議会(集落組織)の役割の重要性が指摘されていることは当を得ている。さらに、その環境保全コストを無理のないように負担する受け皿としては、公的支援ないし市民的支援の体制づくりが必要不可欠であることが示されている。その公的支援や市民的支援(エコマネー)を行っていく道筋として、その客観性を保証する地域環境監査と情報開示は欠かせないものである。
ここで注目したい点としては、公的支援や市民的支援を上手に結びつけるために市民社会の中に地域の生産活動や生産主体との相互連関的なつながりがみえる関係づくりが鍵をにぎっているという点である。すなわち、生産の過程と再生産過程とを共に融合ないし結合していくような関係づくりこそが大事なのである。
その点で、第2報告の阿蘇グリーンストック運動では、阿蘇山麓という自然の準公的空間を、農村と都市と行政が三位一体となって、さまざまな手段をつくり出して関係づくりに挑戦している好事例と言えるだろう。とくに都会の市民サイドを組織するための関係づくりの各種試みは、貴重な試金石として学ぶべき点が数多くある。
第3報告は、一次産業のなかでもとくに漁業の場が、準公的空間として協同組合的に担われている具体的事例を豊富に提供している。一例としての、<鳥付き・手こぎ・釣り漁業>という伝統漁法が、自然と人間の巧妙な重層関係を内在させて維持・存続している意義が、生きている伝統として市民的に支持され見直されていく過程であり、今後の展開に期待したい。世界に誇る魚付き林制度や海と山と川をつなぐ運動についても、今後とも世界的・地球視野からの連帯・連携運動が期待される分野であり、その担い手である漁協の組織形成のあり方に今後はさまざまな展開が予感される。
第4報告では、「環境生協」の取り組みが、生産の過程と再生産過程とを融合ないし結合していく関係づくりとして、市民的協同性をどう形成し、組織化してきたかを具体的に示す好事例を提供している。そこでは、リサイクル活動などで見られるように、ボランティア的関わりと事業活動が相互に入れ子構造のように発展的に展開し合う、事業と運動の相関関係が作用し合っている協同効果が見受けられる。その力を、新たな創造的分野に拡大していく方向として、バイオエネルギーの生産・循環的利用をめざす「菜の花プロジェクト」などは、当面の経済性を協同の力で乗り越えていく試みとして注目したい。
第5報告は、環境と循環性を視野に入れて「仕事と労働の復権」を目指すフロンティアを拓こうとする試みの紹介として興味深い。それは、エネルギー分野を含みこんだ地域循環システムの構築をめざす事例に見るように、狭義の消費分野あるいは行政分野をこえた領域である、準公的ともいえるインフラ部分を、個人や行政や企業にゆだねるのではなく、協同セクターの創意工夫の中で共的にインフラ形成していく自立と自治の可能性を提起している。
以上、各報告を私流に拡張解釈して整理させていただいた。
*
以下では、今後の環境共生社会の創造に向けての私見を簡単に述べておきたい。
<U> 環境共生社会の展開に向けて
(1)転換に向けた社会制度の構築
ここで枠組みを大きく広げて考えるならば、いわば20世紀型の生産力極大システムが調整局面をむかえ、方向転換ないし構造転換が求められていると言ってよい。生産力の極大化が行き詰まりをみせるなかで、単一価値の極大化に対して多面的価値の調和型展開がさまざまに模索され始めているのである。21世紀の人類は、これまでの生産力システム「単一極大化型生産力」の大幅な変革を迫られ、その転換は不可避だと思われる。それは、多様な関係づくりと多面的価値の創造を志向する「共生型生産力」への転換であり、持続可能な生産と消費パターンの形成をめざすものと言ってよいだろう。
言いかえれば、これまでの20世紀文明の大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される社会システム、すなわち入り口(INPUT)と出口(OUTPUT)をどんどん拡大する経済発展からの転換である。つまり、入口と出口をどんどん広げて社会経済システムの拡大膨張を無制限に続けてきた流れが、資源と環境の限界性にぶつかって入口と出口を縮小しながら社会経済システムを維持・発展させるというパラダイム(基本的枠組み)の転換を求められているのである。
新たな産業社会転換への模索は、まだまだ微々たる動きでしかないが、生産・流通・消費・廃棄システムの改善を目指す方向が、環境管理、環境監査、環境会計、エコラベル、LCA(ライフサイクル・アセスメント)、環境調和型技術と製品の開発・設計などの動きとして次第に活発化し始めている。それがたんに実験的試みに終わるか、社会的にきちんとした形で根付くかは、社会制度のあり方や生産・消費社会の形成のされ方に大きく依存する。すなわち、経済学的には旧来の経済評価では考慮されてこなかった外部性(環境コスト、社会コスト等)を、まずは社会的に認知して経済的・社会的評価として内部化していくことを実現させなければならない。
第一次産業である農業分野での展開は、本シンポジウムでも明らかになったとおりだが、資源や環境への負荷という点では現代の産業社会の根幹をなす第2次産業とりわけ工業分野での変革をぬきにはできない。すでに、環境保全型の科学技術の新たな展開として、ゼロエミッション、環境効率の促進、エコポリス産業団地の計画などかなりダイナミックな動きが一部で始まっている。さらに、多種多様なサービス分野が広がる第3次産業、そして流通や交通、通信、都市計画や街づくりなどの各種インフラ部門などで、軌道修正が今後の課題として浮上し始めている。
その際、環境調和型社会への転換をはかるための社会的条件づくりという観点がきわめて重要になる。以下、政策手法という観点から産業社会の転換のプロセスについて論じておこう。生産力の構造転換は、とりわけ社会構造や社会システムとの連関と密接不可分に進行していくと思われるからである。
(2)技術変革・法制度・経済的手法・社会文化的な内部化
政策手法という観点からみていく場合、大きく4つのカテゴリーに類型化して検討していくとわかりやすい(表 1 )。すなわち、@ 技術的解決方法、A 法的・規制的方法(強制的な管理統制)、B 経済的方法(課徴金、助成金、環境税、排出権取引、エコラベル、等)、C 社会・文化による内部化(慣習、倫理、教育、ライフスタイル、等)である。
┌<表1>──────────────────────────────────┐
│@ 技術的解決方法・・・・公害防止・環境保全技術、LCA、環境管理・監査 │
│A 法的(規制的)手段・・・・環境規制(禁止・罰則・制限)、許認可・利用規制
│B経済的手法 ・・・・課徴金、助成金、環境税、排出権(市場)取引、エコラベル │
│C 社会・文化による内部化・・・・習慣、慣習、倫理、教育、生活文化、規範
└──────────────────────────────────────┘
比較的わかりやすく受け入れやすいのが@の技術的解決方法である。ただしそれが単独で自然に解決・展開するわけではなく、とくにBの経済的方法(手法)の活用やAの制度的な枠組みをどうつくるかが重要な鍵をにぎっている。@ABが相互に関係し合ってはじめて実効性あるものになるのである。すなわち生産力構造の転換に向けての第一段階は、環境効率革命を推進する技術革新と環境市場革命を連鎖的に推進していく制度的な枠組みをどう作り出すかである。
こうした動きを社会経済的に定着させるためには、まずは従来の貨幣経済的なコスト・ベネフィット(損益)評価に環境関連の評価指標を組み込む必要がある。例えば製品の分析評価について、エコ基準とかLCA分析などの各種評価手法が試みられており、いわゆるエコラベルの導入などに適用されつつある。世界的にも欧州を中心にISO(国際標準化機構)14000シリーズの中でそうした評価が具体化されつつある。各国レベルでもドイツの循環経済法のように、リサイクルと廃棄物ゼロに向けた制度変革も進行し始めている。しかし、LCAの分析一つとってみてもCO2排出の係数評価が主流であったり、大気汚染・水汚染・土壌汚染などの評価項目の相対的な重みづけの仕方、環境ホルモンなどに関する評価、あるいは生態系への影響、生物種の多様性と絶滅に対する評価など、未確定の領域も多く残されているのが実状である。
そもそも経済評価ができるのか、貨幣換算すべき否か、議論は始まったばかりである。同じく狭い意味の環境コストの内部化ないし経済指標化の動きとしては、いわゆる貨幣評価法がある。具体的には、直接法(仮想的状況評価法:CVM、等)、間接法(ヘドニック法、トラベルコスト法、等)、代替法(取り替え原価法)等が、例えば自然環境の価値や農業・森林の価値評価として利用されだしている。だが、政策決定の参考資料にはなるものの、扱う対象の特性評価や影響評価の仕方、情報開示や市民社会形成のされ方の違いなど、方法論的には限界もある。
さまざまな全体的な動向を、個別から全体に至るレベル分けとして簡潔に整理するならば、以下のようになる。すなわち、@製品や個別の商品におけるLCA分析や環境影響評価の動き(エコラベル評価等を含む)、A個人・家庭レベルでの環境家計簿づくりなどの動き、B企業・自治体などの事業者ベースでの環境管理・監査や環境会計の導入の動き、C個別事業体をこえた異業種エコロジー産業形成(ゼロ・エミッションを含む)、D国家規模・国際規模での国民経済計算に環境影響評価を組み込む動き(通称グリーンGDP、経済環境統合勘定)、といった諸段階の動きとしてとらえることができる。その他にも、環境と貿易に関する分析・評価研究などのように、グローバル化した世界ではさまざまな分野横断的な分析が進められつつあり、きわめて多くの分野での研究や実践的取り組みが積み上げられつつある。
しかし、各分野の動きはそれぞれ個別的に研究が進められ、残念ながら相互関係を取り込む総合的な視点や全体化・総合化としての大きなパラダイム的視点を欠いたまま模索が進められているのが現状ではないかと思われる。将来的な動向としては、現行の市場経済システムは変質ないし変革を余儀なくされていくものと思われる。
また基本的には、より少ない資源消費や環境負荷で、十分な満足が得られるような生活の豊かさ意識(価値観)・文化の形成、一種の生活美意識を作り上げていくことが求められていくのではなかろうか。産業活動も、造って売ってしまえば終わりといった製造・販売に重点を置いた現在のモノ販売中心の市場システムから、修理・回収・再生が十分に機能する製品レンタル制度の普及やサービスの質(中身)を提供することに主眼をおいた社会、所有から共有へと究極的には変わっていく展望が描けるように思われる。
しかし、おそらくより根本的な変革が、社会経済セクターの全体的な枠組みの変化として生じていくというのが私の予感である。最後にその点についてふれておこう。
(3) 社会経済システムのビジョン ー 文明社会の構造転換
今後の展開として重要なのは、生活様式や広い意味の社会・文化をどのように構築していくかである。つまり、全体的な生活様式や社会・文化的状況について環境・社会影響評価を行いながら、あるべき方向についてトータルな仕組みをつくっていく、それはすでにふれた、類型Cの社会・文化的内部化という大きな領域を認識し、拡大・発展させることである。
長期的・巨視的にみると、新たな社会経済システムの再編が資源・環境の制約下で3つのセクターのバランス形成の中で進行していくものと思われる。つまり、社会・経済システムとしては、旧来の資本主義・対・社会主義といった二項対立ではなく、3つの社会経済システムの混合的・相互浸透的な発展形態として考えることが有効だということである。3つのシステムの中で、第1の市場メカニズム(自由・競争)を基にした「私」的セクターや、第2の計画メカニズム(統制・管理)を基にした「公」的セクターに対して、第3のシステムを特徴づける協同的メカニズム(自治・参加)を基にした「共」的セクターの展開こそが鍵をにぎると思われる。
脱成長型社会が安定的に実現するためには、利潤動機に基づく市場経済や政治権力的な統制だけでは十分に展開せず、市民参加型の自治的な協同社会の形成によってこそ可能となる。それは、地域のレベルから世界レベルに至るまで、事例をあげれば共有財産(公共財)の管理運営(都市計画・地域計画を含む)、廃棄物処理に関わる問題、あるいは平和問題などの解決対応策を考えればわかるだろう。こうした問題の解決のためには、上からの管理統制や市場経済の環境コストの内部化のみならず、市民参加、人々の自発的・協同的な活動が多面的に展開されてこそ、コスト面でもよけいな負担がかからずにその実行性がより効果的に発揮される。つまり、環境共生社会の創造に向かう道筋において、市民一人一人が持続可能なライフスタイルを確立して土台づくりとして(社会・文化的な内部化)、「共」的セクターの展開は必須不可欠なのである。今後の発展方向が、以上の社会経済セクターの新たな編成のもとで展開し、よりよい21世紀社会の形成を促していくことを期待したい。
(参考)*本誌第18巻1号「特集:NPOと協同組合」(1998年10月)
**「協同組合経営・研究月報」(2000年1月)、協同組合経営研究所
古沢広祐(国学院大学経済学部)
【課題整理】
シンポジウムでの役割は、直接的には第2報告(山岸報告)への質問とコメントであった。それは、(1)NPOは、既存の協同組合の限界を超える性格を持つものとして位置づけられるのか否か、(2)NPOの基本的な組織原理「ネットワーキング」は、具体的にどのような広がりを展開しているのか、また協同組合間提携の動きをどのようにみるか(3)NPOのサポート体制の具体的な内容について、といったような質問であった。
本稿では、シンポジウム全体を通しての総括的なコメントをさせていただくことにしたい。
まず第1に、NGOと協同組合は社会経済システムの中でどう位置づけられるのか、それをわかりやすく図示すると(図1)となる。すなわち3つの社会経済セクターとは、市場メカニズム(自由・競争)を基にした「私」セクター、計画メカニズム(集権・管理)を基にした「公」セクター、協議メカニズム(分権・参加)を基にした「共」セクターとして3つに区分けをして考えてみようということである。
この3つの区分けはあくまで便宜的なもので、相互に重なりあって存在する場合も多い。このなかで、「私」と「公」のセクターの説明は省く。「共」セクターは、歴史的には村落共同体がもつ入会地ないし共有地(財産)の維持・管理や、結いと呼ばれる労働力の交換方法、そして都市化社会でもさまざまな市民団体のボランティア的活動や社会的運動・事業団体(NGO・NPO)があり、周辺領域と重なるが、経済行為としては共同購入グループの活動から生協や農協など既存の協同組合における活動、その他利潤目的ではないコミュニティや社会的な事業・サービスなど、実にさまざまな分野に広がっている。
この図の中では、一言で協同組合と言っても事業展開や性格によって位置する領域は異なる。そして多くの協同組合は、組織形成期(「共」セクターでの活動)を経て制度的に安定すると3つのセクターのとくに重複部分に位置づくものと思われる。3つのセクターにおいて、それぞれの特徴を、経済原理と政治原理として特徴づけると(表1)のような区分けになる。
こうした図解や区分け方をもとにして、NPOと協同組合の関係を考えた場合、住み分け状況が続く一方で、NPOの活動が安定的な事業化・組織化をはかる過程で協同組合を形成する一種のハイブリット(融合)化していく可能性が大きいのではないかと予感される。逆な立場に立つと、協同組合が今後新たな分野で事業展開をはかろうとした場合、融合(ハイブリット)化はきわめて重要な戦略になるのではないかと思われる。
つまり、協同組合はセクターの重複部分に位置していることから、グローバリゼーションや市場化の巨大な圧力の中で「私」セクターに吸収されたり、「公」セクター側に取り込まれやすい状況に今後ますます置かれることになる。それに対して、その独自性と自発性、参加型のコミュニティ形成能力を獲得していく道は、協同組合が「共」セクターとりわけNPOサイドの市民的・自律的なパワーを汲み上げることこそ存続・発展の鍵となる。それはまた、ともすれば狭まりがちな市民的な共・公益圏を拡大・発展させていく拠点として新たな可能性につながるものと思われる。
(表1)
│ 「私」セクター 「共」セクター 「公」セクター
│
│ 私的利潤追求 共益追求 公益追求
経済原理 │ 資本拡大増殖 資本制約 資本統制
│ 私有財(市場財を含む)共有財(無償財を含む) 公共財(政治財にもなる)
│
│
│ 自由(対立的要素) 公正(自律的要素) 平等(従属的要素)
政治原理 │ 競争(個的利害) 共生(集団的利害) 統制(全体的利害)
│ 排他性(搾取) 協調性(ネットワーキング) 統一性(支配)
│
Copyright (C)2004 Kouyuu Furusawa. All rights reserved.無断転載はご遠慮下さい。